北欧家具好きが選んだLCW|10年以上使ったレビュー

モノについて

デザイナーズ家具に惹かれた25年前|ミッドセンチュリーとイームズとの出会い

10年以上使った家具の中で、手放す気がまったく起きない椅子がある。 イームズのLCWだ。

デザイナーズ家具に興味を持ち始めたのは、もう30年ほど前。20歳ぐらいで、アートに魅かれ始めた時期。

当時は昭和レトロとか、アメリカ的なミッドセンチュリーの世界観に強く魅了されていて、特にイームズのシェルチェアは憧れの存在で、わたしが最初に手に入れたデザイナーズ家具になる。

イームズと一言で表すことが多いけれど、正確にはチャールズ&レイ・イームズ夫妻のことを指す。この二人が出会わなかったら、数々の名作は生まれなかったのかと思うと、世の中に与えた影響は大きい。                                      チャールズのほうは再婚らしい。1回の結婚で本当の伴侶を見つけられる方が珍しいのかもしれない。

すごく仲がよさそうなふたり。

 

椅子に興味がない人からすると、 シェルチェアは「古い鉄道の椅子?」くらいにしか見えないかもしれない。 でも、あれは多くの椅子のデザインに影響を与えた“元の形”だと思う。

今回はイームズの別の名作椅子、LCWが主役だけど、もう少しシェルチェアついて。

イームズシェルチェアの魅力|ナウガレザーとナウガモンスターの物語

これはイームズの魅力というよりは、開発したユニロイヤル社の魅力になるんだけど、イームズシェルチェアに使われているレザーがおもしろい。

おそらく当時は(今もだけど)、レザーと言えば天然皮革が良いモノとして認識されていたと思う。それに対して、合成皮革は安いモノだと。

イームズシェルチェアの座面の素材は、アレキサンダー・ジラルドデザインのファブリックも有名だけど、ナウガレザーがよく使われていた。

これは、合皮なのに「ナウガモンスター」という架空のキャラクターを作り、 “このモンスターの皮を使っている”という設定にして、ナウガレザーとして広く流通した。

こういう遊び心がたまらなかった。

イームズが考えたわけじゃないけれど、新しい素材を積極的に使っていくイームズ夫妻だから、この素材を使ったんだろうと想像してしまう。

合皮だからこそできる色も鮮やかで、わたしがミッドセンチュリーに惹かれた理由のひとつだった。

イームズ夫妻の技術革新|合板技術とレッグスプリントがLCWにつながる理由

イームズ夫妻は、新しい技術にどんどん挑戦する人たちだった。

合板技術にも積極的に挑戦し、 第二次世界大戦中にはアメリカ海軍負傷兵のためのレッグスプリントを作った。 その技術が、後のLCWにつながっていく。

合板技術の良さは安価で耐久性が高いとかたくさんあるけれど、一番は「量産できること」だと思う。

「技術の挑戦が、生活を豊かにする家具につながる」 この思想が、イームズの魅力だと思う。

チャールズ・イームズのこんな言葉がある。

 

「家具デザイン。それは、人がひとりで扱うことのできる小さな建築作品だ」

家具ひとつひとつを建築物だととらえて、強度やバランスを考えデザインしてきたことが伺える。

こちらは1948年に発表されたラ・シェーズ。尾道市立美術館で見れます。

北欧家具好きの自分がLCWを選んだ理由|合板を“木として認めなかった”わたしが惚れた椅子

アメリカのミッドセンチュリーにひとしきりはまった後、興味を持ったのは北欧家具だった。これもミッドセンチュリーと同じ時期の1950年代頃の家具。

北欧家具は「木」の使い方が非常にうまく、とくにチーク材がスキだった。というか今もチークのひじ掛けを触るだけで幸せを感じるぐらいスキだ。

 だから正直、合板なんて“木として認めない”くらいだった。学校の椅子ぐらいの認識だった。イームズもシェルチェアとかラウンジチェアとかしか目がいってなかった。

でも月日が経ち一通り家具が揃い、もう増やすことはないなと思っていたころ、LCWにその認識を覆された。

ハーマンミラーで試しに座ってみたら、座り心地が良すぎて、さんざん悩んだ挙句、手に入れた。

LCMと迷ったけれど、 脚がウッドなのは見ていて美しい。 最終的にLCWを選んだ理由はそこにある。

LCWの座り心地レビュー|10年以上使って分かった“ソファ並みの快適さ”

あれから何年も経つけれど、 毎日のように「買ってよかった」と思う。

  • 木なのにソファに負けず劣らずの座り心地
  • 1シーターソファより場所を取らない
  • 圧迫感がない
  • 背面が適度にしなり、角度も絶妙
  • 長時間座っても疲れない

「木の椅子=硬い」というイメージを完全に覆してくれる。いや、実際には硬いんだけど、硬さを感じさせないというか、気にならない。

座布団を敷いた方がより楽になるかと思って試したこともあるけれど、そのままじかに座る方が楽に座れる。

圧迫感がないのも魅力的。我が家のように狭い部屋では、椅子が空間を圧迫する。特にソファだと。座面や背面は1センチにも満たない薄さだからそう見えるけど、おそらくこれは強度の高い合板だからこそできる。チーク材では作れない。
確かに手触りという部分では無垢の木には勝てないけれど、それを補って余るものがある。座ったことがない人はぜひ店頭でも座ってみて欲しい、この計算しつくされた座面の傾斜と優しい曲面の背もたれ、最高。

LCWとLCMで迷う人へ|ウッド脚の美しさが決め手になった話

LCWはラウンジ・チェア・ウッドの略、LCMはラウンジ・チェア・メタルの略。要は脚の部分がウッドなのかスチールなのかの違いだ。

ちなみにDCWとDCMというモデルも存在する。Dはダイニングを意味し、DCWだとダイニング・チェア・ウッドとなる。こちらのモデルのほうが座面が高く狭い。

購入前はLCWとLCMで迷った。

単純にLCWのほうが価格が高い。座り心地は少し座った感じでは違いが分からなかったので、LCMに気持ちが傾いていたが、スタッフさんの、「やはりこのシリーズはウッドですよねー」という言葉にまんまとはまった。

最終的に、 “見ていて美しい”という理由でLCWを選んだ。

家具は毎日視界に入るものだから、 見た目の心地よさは大事だと思う。

 

80年前のデザインが今も愛される理由|LCWは100年残る名作だと思う

LCWは、最初に製造されたのは1945年。

もう80年も前のデザインだ。 この80年で世の中のモノはほとんどすべて変わってしまったと思う。それでも今なお作られている。

だから、 今後100年も絶対に残る。

時の洗礼を受けて残っているモノは、 いつの時代でも魅力を感じる。

そして製造メーカーがハーマンミラーというのも大きい。発売当初はエヴァンスだったけど、1949年からは一貫してハーマンミラーが製造している。

製造中止時期もあったけれど、いまだに作り続けてくれていることがうれしい。

LCWの価格は上がり続けている|それでも“投資以上の価値”を感じる

2002年発行の手元の本を見ると、昔の定価は103,000円。 今は種類が増えていて一番ベーシックなモデルで、231,000円

24年で224%の高騰。

50年以上前に発表され、いまだに製造されている家具は意外と多い。そしてそれらの家具はずっと値上がりし続けている。 LCWはその典型だと思う。

使っていれば傷んでくるので、10年後の新品の価格と同じというわけにはいかない。けれど大きく価値は下がらないはず。そして使っている間の満足感はすごい。

今はリプロダクト品も多く出ている。一見あまり違いが無いように見えるかもしれない。ただこのLCWは絶妙なバランスで成り立っているデザインなので、これをそのまま再現するのは難しいと思う。再現できなければただの硬い座り心地の悪い椅子だ。

購入当時、家計には打撃だったけれど、 もう当時のことは覚えていない。

残ったのは満足感だけ。

LCWを買ってよかったと思う瞬間|コーヒーと読書が最高の時間になる椅子

この椅子に座ってコーヒーを飲みながら本を読む時間は、 本当に至福。

おしゃれなカフェでコーヒーを飲む時間を、自宅で得られる。コーヒーを淹れることが好きなこともあって、わざわざ外出してコーヒーを飲もうと思うことが減った。

そしてLCWを眺めている時間もいい。横から見た曲線美はため息がでるぐらい綺麗で、リラックスできる。

暮らしの質が上がるとは、こういうことだと思う。

 

 

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